2008年7月
普段、私たちが何気なく手に取り聴いているCD。
一体この一枚が作られるまでには、どのような過程が必要なのでしょうか。
「レコーディングってどういう 順序で進めるの?」「レコーディングってどういう作業をするの?」
という疑問や悩みを持っている人たちのために、また、これからレコーディングをしようという人たちのために、ここではレコーディングの流れをご紹介します。
●スタジオを押さえる
曲数、楽器編成等から必要な日数を相談し、希望日数を踏まえ日程を押さえる。
一口にレコーディングスタジオと言っても、設備や広さ、また立地によって様々。
機材などの設備が整っていれば高音質の録音が可能になり、スタジオの数や広さに余裕があれば、多様なスタイルの録音にも対応できる。
また、音をクリアに録るために、部屋の音の反射具合なども細かく計算されている。
録音する曲数やメンバー編成、録音形態、予算からスタジオ選びとスケジュール立てをすることが大切。
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●オケ録り
それぞれの楽器、機材をセッティングし、ドラム、ベース、ギターを別々に、曲の元となるベーシックを録る。
そこからギターのかぶせなどベーシックに重ねる音を録る。
このようなすべての楽器を別々に録る方法、ドラムとベースを一緒に録る方法、すべてを一緒に録る方法(一発録り)などがある。
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●ヴォーカルダビング
リード・ヴォーカルを録り、先に録ったパートをヘッドフォンで聴きながらコーラスを録音。
ヴォーカルがコーラスを何人分も重ねたりもする。
ちなみに、良い状態で声が出るのは、多少の個人差はあっても1日数時間程度。
それ以降は、声の質が劣化していってしまう。
ライヴでは隠せても、レコーディングでは細かい声の変化がはっきりわかってしまうため、体調管理を含め重要な部分となる。
スタッフは良いヴォーカルが録れるよう、精神的・肉体的に歌いやすい環境を作ってあげることが大切。
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●ミックスダウン
すべての音を録音したあとに音量バランス、音質、エフェクト処理を決定して、いわゆる2トラック(ステレオ)にまとめる作業。
レコーディングに参加したメンバー、スタッフ、プロデューサー、エンジニアが共に集中力を必要とするとき。
曲全体の雰囲気をまとめる一番重要な部分なので、本来いちばん時間を要す。
最初は、ある程度エンジニアに任せて、イメージに合わせて音作り、バランス取りをしてもらう。
基本のミックスが完成したら、メンバーやプロデューサー・ディレクターも参加して微調整していく。
ミックスダウンはほかに〈トラックダウン〉〈落とす〉とも呼ばれる。
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●マスタリング
通常ミックスダウンは1曲ずつ完成させていくので、できあがった曲は全体の音量や音質に差が出てしまう。
そこでアルバム全体の音量・音質のバランスを取り曲順通りに並べて曲間調整をし、プレス用マスターを作る作業をマスタリングという。
ミックスダウンが個々の歌・楽器のバランスや音質を作っていくのに対し、マスタリングはアルバム全体のバランスを取っていく。
リスナーの耳に届くのは、この時点で最終調整したサウンドなので、細心の注意を払って作業を進めていく。
最近はミックスダウンした音源をコンピューター(PC)に取り込み、曲順通りに並べて、イメージするサウンドを作っていく。
すでに2ミックスに落とされた状態なので、個々の楽器パートの音量や音質を変えることはできない。
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