今、アシスタントエンジニアとして働いている人の多くは、高校卒業後、専門学校に行って、それからレコーディングスタジオなどにはいったという人が
ほとんどです。(大学に行きながら専門学校にも行った人もいると思います。)
また少数ですが、専門学校に行かず大学(又は高校)卒業から直接スタジオにという人もいます。
この仕事は、普通の会社のように定期的に採用をするということはあまり無く、人手が足りなくなった時に、随時採用というのが多いと思われます。サウンド&レコーディング関係の雑誌などにも時々求人広告などが出ています。(経験者を求めていることが多いですけど。)
まあ専門学校には求人の情報はそれなりにあるとは思いますが、自ら、 レコーディングスタジオなどに電話をしてみて直接アタックしていくのが一番だと思います。 (まあこういう個人活動は専門学校の先生達は嫌いますけど、
実際のところ積極的に行動していった方が可能性はあると思います。)
とはいうものの何の知識も無い人が直接押しかけてもなかなか相手にしてもらえない事が多いので、一応専門学校などで基本的な知識は勉強しておいた方が良いでしょう。
現在、エンジニア志望でスタジオに入ってくる人はかなりいるのですが、すぐにやめていく人も多く(根性が無いというか執着心が無いというか、まあアシスタントエンジニアというのはかなりきつい仕事ではあるのですが..)、意外と人手(人材)不足でもあるんです。
アシスタントはレコーディングが順調に進むかどうかに大きく作用するほど重要な仕事ですし、それを乗り越えてもらわないとエンジニア(ミキサー)にはなれないわけですから頑張ってもらいたい のですけど。
ちなみに、私は高校卒業後、普通の会社員をやっていたのですが(5年間程)、その時、遊びで友人とバンドを組んだりしているうちに仕事より音楽をやってる方が楽しくなり、これでは今の仕事に対して失礼だということで、じゃあ音楽の方を仕事にしようと思った訳です。それで会社を辞めて専門学校に行き卒業時に、レコードのクレジットでみた某ミキサー会社に押しかけたら、運良くというか神はいたというか、使って頂けたという事です。
※定期的な採用があまり無いため、押し掛けで採用されることもかなりあると思います。
ミキシングで音楽が生きたり死んだりします。
やりがいのある仕事ですから、是非頑張ってレコーディングエンジニアを目指して下さい。
---- いくつかの質問について ---
> スタジオ側がアシスタントを雇う場合、いつ頃になるのですか?
スタジオがアシスタントを採用する場合、「定期的な採用(新人、未経験者)」プラス「人手不足になった時に随時募集(経験者)」というかたちが一般的だと思います。採用の時期に関しては、それぞれのスタジオに、手紙、電話、電子メールなどで、問い合わせてみて下さい。
> 雑誌やインターネットで見る限りでは、レコーディングに関しての知識は
> 最初は余りいらない、とあるのですが、本当でしょうか。
新人として、スタジオに入った場合は、3ヶ月(〜6ヶ月)間くらいの研修期間があるのが普通です(スタジオによっては、最初は、掃除や電話番、お茶くみしかやらせてもらえないとこもあるかもしれません)。その間に先輩のアシスタントエンジニアの人の仕事を見て、または教わったりして、だんだん覚えていけば言いわけです。そして、3〜6ヶ月後にスタジオが、「アシスタントとして一人で仕事をさせても大丈夫だ」と判断した場合に、初めてアシスタントとして正式に仕事を任される事になります。
とにかく知識とか何とか言う事より、頭の回転が良い、人の話の呑み込みが速い、効率のよい行動をとれる、こういったことがすごく大事です。 (3〜6ヶ月経っても無知識というのは困るが。)
自分は知識があると思っている人でも、その知識というのは、ミキサー・エンジニアとしての知識であって、アシスタントとして必要な知識ではないことが多いです。
ミキサー・エンジニアとしての知識は、アシスタント期間(2〜9年間)に勉強すれば良いことで、アシスタント期間に、どういう意識で仕事をするかでエンジニアになれるかなれないかが決まる といってもよいです。
>なにか、これが必要!という才能や、感性などありますか?
上でも述べましたが、 頭の回転力(人の話の呑み込みの早さとか、いろいろな作業をやる際の手際の良さとか)、柔軟な考え方、オリジナリティーのある発想力 などが 必要だと思われます。
日頃から、人の話をよく聞いて自分で考えて効率の良い行動をとるということを心掛けて生活を送って下さい。
音楽や音に対する感性とかセンスとかは、いろんな音楽を聴いたり作ったりして自分で磨いていって下さい。(これを努力とか勉強とかいう感じでしか捉えられなくなった時はレコーディングエンジニアを志すのをやめて他の仕事を目指して下さい。)
実際の技術的なことなどは、インターン・アルバイト・誰かの弟子・正式入社、など何かしらの方法でスタジオに出入りできるようになってからでないと(現場でなければ)習得出来ないことが多いので、その前段階として、 今のうちはレコーディング・サウンド関係の雑誌や書籍などで、用語を覚えたり、なんとなく作業の流れをつかんだりしておくことが良いと思います。 (こちらは努力とか勉強とかという気持ちで頑張りましょう。)
> 親に迷惑が掛からない程度は貰えるのでしょうか?
それは、大丈夫です。たぶん一般の会社の新入社員と同じくらいはあると思います。しかし、最初のうちは、労働時間のわりには少ないかもしれませんが。まあ、たとえ、給料の安いとこでも、とりあえず生活は出来るくらいは払うと思いますよ。
※繰り返しますが、今、アシスタントエンジニアは結構不足しています。というのは、エンジニアになりたいと思って入ってきても、すぐに辞めていく人が多いのです。それだけ大変な仕事ですし、アシスタントという仕事そのものは決してクリエイティブな仕事とは言えないからです。しかし、アシスタントの仕事は非常に重要な仕事ですし、この期間に色々な事を学んだり、感性を磨いたりしてエンジニアになっていく訳ですから、是非頑張ってもらいたいと思っているのですが。
※最後に。
プロのレコーディングエンジニアというのは、多くの場合、クライアント (アーティスト、プロデューサー、ディレクターなど)が良いと思うものを作るのが仕事ですから、決して自分の感性だけで仕事が出来るとは思わないで下さい。自分が良いと思うものを作るのではなく、他人が良いと思うもの作る。もちろん両方が一致すれば最高ですけど。
他人の感性で仕事をしながら、自分の個性もちゃんと出し、完成度の高い作品を作る。これがプロなのです。このことは、作詞家・作曲家・編曲家・スタジオミュージシャンなどにもあてはまります。自分だけが良いと思うもの、自分の感性だけでものを作ること、これはアマチュアでも誰でも出来ます。もちろんそれが多くの人に認められれば、これは立派なアーティストですけど。
頑張って下さい。いつの日か、どこかのスタジオで会える事を期待しています。
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